虹の下にあるもの

2003年11月27日
虹の下にある物を探しに旅に出かけるという
よくあるお話

宮澤賢治「十力の金剛石」より

「来た来た。ああ、とうとう来た。十力の金剛石がとうとう下った。」と花はまるでとびたつばかりかがやいて叫びました。
 木も草も花も青ぞらも一度に高く歌いました。
 「ほろびのほのお湧きいでて
  つちとひととを つつめども
  こはやすらけきくににして
  ひかりのひとらみちみてり
  ひかりにみてるあめつちは
  ……………     。」
 急に声がどこか別の世界に行ったらしく聞えなくなってしまいました。そしていつか十力の金剛石は丘いっぱいに下って居りました。そのすべての花も葉も茎も今はみなめざめるばかり立派に変っていました。青いそらからかすかなかすかな楽のひびき、光の波、かんばしく清いかおり、すきとおった風のほめことば丘いちめんにふりそそぎました。

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